歯周病の治療

歯周病治療の基本であるプラークコントロールや歯石除去について説明します。

歯周病治療の流れ

歯周病の治療ではその進行の阻止を治療の目的とします。
この目的を達成するために、診査診断・基本治療(原因除去治療)・再評価検査・修正治療(歯周外科・矯正・インプラント・補綴など)・メインテナンス治療の順に治療が行われます。

この5つの流れのうち修正治療以外の4つは歯周病治療に必須ですが、症例により修正治療は必要のないこともあります。

例えば、

歯周病治療の具体的なゴール

上に述べたように歯周病治療の目的は病気の進行の阻止ですが、そのための具体的なゴールは以下のようなものです。

  1. 歯肉の炎症の消失( 歯肉の腫れ・赤み・ ポケット深さ測定時の出血の消失)
  2. ポケット深さの減少(4mm以下が望ましい)
  3. 根分岐部病変の除去

基本治療の目的と処置

歯周基本治療(原因除去治療)は、歯の周囲の細菌性沈着物(プラーク・歯石など)を取り除き歯肉の炎症を消退させることを目的としています。

このために以下のことを行います。

プラークコントロール(歯みがき)

歯肉炎(歯周病の初期段階)はプラーク(歯垢)の蓄積によってはじまり、プラークを除去すると健康な状態に戻ります。このため徹底的なプラークコントロールにより、歯周病の進行を予防することができます。

代表的なプラークコントロール法には、 ブラッシング ・ 歯間ブラシ ・ デンタルフロス があります。

治療前

治療後

歯石除去

歯石とは、プラークに唾液中のカルシウムが沈着して固まったものです。
歯石自体が歯周病の原因ではありませんが、歯石は歯ブラシでは除去できないため、周囲のプラークの除去を困難にします。

歯石除去にはスケーラーと呼ばれる器具を用います。
スケーラーには超音波振動を利用した超音波スケーラー、手用スケーラーなどがあります。

治療前

治療後

プラーク停滞因子の除去

歯石と同様に、歯のかぶせ物・つめ物の不適合もプラークの除去を困難にします。
また歯と歯の間にすき間があると、食物がつまりやすくなります。
基本治療ではこうしたプラーク停滞因子を除去し、プラークコントロールしやすい環境を作ります。

再評価検査

基本治療終了後、その効果を再評価検査により判定します。

再評価検査に含まれる項目は以下のとおりです。

  1. 歯肉の炎症の消退
  2. ポケット深さの減少
  3. 歯の動揺の減少
  4. 患者さん自身の口腔衛生の改善

再評価検査の結果を元にその後の治療計画の修正をおこないます。

治療前

治療後

歯周外科

再評価検査においてプラークコントロール(口腔衛生状態)が改善しているにもかかわらず、歯肉の炎症(ポケット測定時の出血)が持続していて、深い歯周ポケットが存在することがあります。こうした場合には、ポケット内の歯根面に歯石の取り残しがあることがあります。

Fleischer ら( 1989 )によると、複根歯(歯根が 2 本以上ある歯)のSRP(深いポケット内の歯石除去)後、 4 - 6 mmの歯周ポケットで除去できる歯石は、 10 年以上の経験のある歯周病専門医で 27 %、一般開業医では 8 %にすぎません。つまり 深い歯周ポケットでは、大半の歯石が残っています

歯肉を切開し、歯根面の歯石を確実に目で見て確認し、これを除去するための手術が歯周外科です。

歯周外科の目的にはこれを含め以下の3つが挙げられます。

  1. 歯周ポケット内の歯石を確実に目で見て確認し、これを除去する
  2. 歯肉の整形をして歯周ポケットを浅くするなど、患者さんがプラークコントロール(歯みがき)しやすい環境をつくる
  3. 歯周組織の再生治療(エムドゲイン、GTR法など)

SRP後の歯石の除去率( Fleischer ら、 1989 )
(横軸はポケット深さ)

歯周病治療後のメインテナンス

歯周病治療後のメインテナンスとは、定期検診のことです。メインテナンスの目的は、歯周病治療の結果得られた健康な歯周組織の状態を継続して維持することにあります。患者さん自身による適切なプラークコントロール(口腔衛生)が良好な長期安定には欠かせません。

実際のメインテナンス時には以下のようなことを行います。

  1. 口腔内診査・再評価 (口腔衛生状態・歯肉の炎症・歯周ポケット・虫歯などについて)
  2. 歯みがき指導・動機付け
  3. 歯石除去
  4. 歯面研磨・(フッ素塗布)

さらに、歯周病の再発・虫歯などが発見された場合には、再治療が必要になります。

メインテナンスはなぜ必要?

歯周病治療後の患者さんにおいてメインテナンス治療が行われない場合、 歯周病の再感染や進行のリスクが高くなります。

歯周病治療後のメインテナンス治療あり・なしの患者のグループを比較した研究( Axelsson, Lindhe 1981 )を例にあげます。

歯周病治療終了3年後と6年後の検査において、メインテナンスありの患者グループは適切なプラークコントロール(口腔衛生状態)が維持されていました。
これに対し、メインテナンスなしの患者グループではプラークの付着が治療終了時よりも明らかに増加し、歯肉炎の部位も同様に増えていました。

メインテナンスありのグループでは、歯周病の進行(歯と歯肉の付着の喪失)が 99%の部位で1mm未満 でした。
メインテナンスなしのグループでは、6年後の検査時に55%の部位で歯周病の進行(歯と歯肉の付着の喪失)が、2~5mm認められました。

このように、歯周病治療後のメインテナンス治療が行われない場合には、歯周病の再発が高い確率で起こることが多くの研究で証明されています。

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